土地からマンションを新築するサポートを通して土地の相続税不安をなくし個人の将来不安をなくす
マンション建築の専門家 東京の不動産系税理士の横川です。
ブログにお越しいただきありがとうございます!!
今回は公認会計士・税理士である僕が、マンションに関わる会計チックなことをお伝えします。
マンションを経営していくうえではとても大事な『耐用年数』と『減価償却』についてです。
数字の強さが経営の強さに繋がるため、きちんと理解していると将来の収支をさらにより良く改善できるでしょう。
マンション経営では、建物の金額が数億円や数十億円の多額になるため、建物の『耐用年数』と『減価償却』はトップクラスに重要な会計知識になります。
是非、理解度を深めましょう!
耐用年数とは
『何年に渡ってその資産の価値を減らしていくのか』を表したものです。
耐用年数が10年だと、その資産は10年間で価値をゼロにしていきます、ということです。
一部の資産を除いて、資産は価値が減り続けていつかは価値がゼロになりますよね。
建物もそうですし、家電製品や家具なんかも、劣化し続けて価値がゼロになります。
例えば、建物の金額1億円、耐用年数が10年だと、毎年1千万円づつ価値を減らしていき、10年後に価値をゼロ円とします。
(正確には若干異なりますがイメージを掴むために簡単化しています)
なぜ耐用年数を決めて価値を減らしていかないといけないかと言うと、後述の減価償却費の金額を算定するためです。
補足ですが、資産ごとの耐用年数は、実は国が決めています。
この資産の耐用年数は何年ですよ~ということを国が決めてくれているため、一般的にはその年数に従うだけです。
税理士はこちらの耐用年数表を使用して、資産ごとの耐用年数を決めています。
(国が年数を決めてくれているので、ありがたい資料です)
『種類』⇒ 【建物】、『構造又は用途』 ⇒ 【鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造のもの】、『細目』⇒ 【住宅用、寄宿舎用、宿泊所用、学校用又は体育館用】のもので耐用年数が47年となっています。
RCやSRCで作ったマンションの耐用年数は47年間です、ということが国で決められています。
ポイントは、会計上 (税金算定上) は47年間で価値をゼロにしていきますよ、というであり、実際に何年使えるかということとは関係がありません。
47年経ったら取り壊さないといけないわけでもなく、別に60年や70年使ってもいいわけです。
実は、耐用年数というのは、会計上 (税金上) の話しであって、何年使えるか?ということを表したものではありません。
何年に渡って使えるかどうかは、実際には建物の品質であったり、風水害の状況、大規模修繕の頻度などに左右されるので、物件ごとに大きく異なります。
耐用年数はあくまでも会計上 (税金算定上) の概念です。
マンション構造 (木造、鉄骨、RC) ごとの耐用年数
マンションは、構造 (木造、鉄骨、RC) ごとに耐用年数が変わります。
なんとなく、木造 ⇒ 鉄骨 ⇒ RC の順で耐久度が強いというイメージはあるかと思いますが、実際の耐用年数は何年でしょうか。
上記の『国税庁の耐用年数表』から該当部分を抽出しました。
事務所用の建物だとこちらです。
構造 耐用年数
RC 50年
鉄骨(厚さ4ミリ以上) 38年
鉄骨(厚さ3ミリ~4ミリ) 30年
鉄骨(厚さ3ミリ以下) 22年
木造 24年
店舗用、住宅用の建物だとこちらです。
構造 耐用年数
RC 47年
鉄骨(厚さ4ミリ以上) 34年
鉄骨(厚さ3ミリ~4ミリ) 27年
鉄骨(厚さ3ミリ以下) 19年
木造 22年
想像通り、木造 ⇒ 鉄骨 ⇒ RC の順で耐用年数が長くなっています。
耐用年数は、あくまでも会計上 (税務上) の概念ですが、資産ごとの耐久度もある程度は示しています。
いちばん耐用年数が長いのがRCで、現実においてもRCがいちばん長持ちします。
耐久性を特に重視する方だと、新築でマンションを建てる場合はRCを強く希望される方が多いですし、ご家族の自宅部分も含めてマンションを建築する方だと、RCを希望される傾向にあります。
耐用年数表から見ても、RCの耐久度の高さは一目瞭然です。
減価償却とは
耐用年数と表裏一体の関係にある『減価償却』とは、『資産の価値が減っていくその価値の減少額のこと』です。
例えば、建物の金額1億円、耐用年数が10年だと、毎年1千万円づつ価値を減らしていきますが、毎年1千万円の減価償却費が発生しているわけです。
最初に1億円で建物をたてたけど、一気に1億円の費用を計上するわけではありません。
✅ 会計には、収益と費用の計上時期を一致させるという考え方が根本的にあります。
⇒ マンション経営は数十年に渡って収益を上げてくれるため、同じく建物も数十年に渡って費用化 (=減価償却費を計上) するということです。
減価償却は耐用年数と同様に、あくまでも会計上 (税金上) の考え方です。
毎年、減価償却費を1千万円計上しました、といっても実際にその資産の価値が1千万円減るわけではありません。
実際の価値の減少割合を正確に算定することは難しいため、国が決めた耐用年数表に従って、その期間で毎年、一定額の価値を減らしていくことがルール化されているだけです。
機械的な話しであり、現実の価値の減少状況とはかなりズレるケースもあるでしょう。
マンション経営者からすれば、毎年の減価償却費が『経費』となって税金を減らしてくれる効果があるので、『減価償却費』については良いイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
減価償却費の算定方法
マンションの建物部分については、基本的には定額法と呼ばれるもので算定します。
(土地は後述しますが、減価償却しません。価値は一定のままで据え置きます)
定額法の算定式は簡単で、耐用年数が47年なら、47年間に渡って毎年同じ金額を減価償却費として計上し続けるだけです。
例えば、建物の金額1億円、耐用年数47年の定額法なら、1億円÷47年で毎年212万円の減価償却費を計上し続けることになります。
簡単ですね!(※定額法の計算式は、厳密には若干ことなりますが、イメージのしやすさのために簡単化しています)
昔は定率法と呼ばれる少々複雑な算定方法がありましたが、今は定額法で統一されています。
土地は減価償却しない
建物は、将来のどこかの時点で必ず取り壊す運命にあります。
鉄骨にしろRCにしろ、時間の経過に伴って劣化し続けていき、最後には使えなくなります。
土地は、価値が減り続けるわけではありません。将来のどこかの時点で価値がゼロにもなりません。
時代の流れによっては、土地の価値が減ったり増えたりしますが、土地そのものは劣化もしませんし、普遍的な価値を持ち続けます。
そのため会計上 (税金上) は、土地の取り扱いは非常に簡単で、耐用年数もなく、減価償却とも関係がなく、最初に計上した金額でずっと据え置くだけになります。
土地は、新規で取得したときや売却したときに金額が動くだけで、何もしなければ金額が同じままなので、簡単です。
建物は、細目に分ける
上述の『国税庁の耐用年数表』でも分かる通り、細目ごとに耐用年数が様々異なっています。
建物と一口に行っても、出来上がるまでの建築工事自体には、躯体工事、内装工事、外壁工事、エレベーター、電気設備、給排水などなど色々ありますので、項目に従って内訳を分離して、決められた耐用年数を使用していきます。
建物本体 (躯体) とその他もろもろの設備では耐久度が異なるため、項目ごとに耐用年数も細かく決められているわけですね。
建物全体で耐用年数47年!と一律で決めてしまうとすると、減価償却費の計算は簡単になりますが、実態を表さずにそれはそれで乱暴になってしまいます。
⇒ 減価償却費の算定上は、建物を項目ごと (躯体や内装など) に細分化してそれぞれの耐用年数を適用して、耐用年数の期間に渡って毎年、一定額を償却していくことになります。
耐用年数も減価償却費の算定も、全て税理士の仕事
これまで『耐用年数』と『減価償却』について解説してきましたが、経理記帳と申告書作成は税理士の仕事であり、マンションの経営者は税理士を雇ってお任せしている方がほとんどでしょう。
(中にはご自身で申告書作ってますよ~という強者もいらっしゃるかもしれませんが)
自分であまり深く理解しなくても良い分野ですが、『耐用年数』と『減価償却』についての理解が、意外とマンション経営に生きたりすることもあります。
実は、耐用年数?償却費?といった方もいたかもしれませんが、少しでも理解に役立てたなら幸いです!
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